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「今期を以て御社への投資は打ち切らせていただく」

「えっ！？」





「こちらも見返りのないところに使える金はないという事だ」

「い、いや　それじゃぁ我が車は・・・」





「どうなろうと私は知らん
　大体、エアコンの故障にエンジンから異音
　これだけで20万の修理代は下らんだろう」

「ですから直して頂ければまだまだ走る自信はありますので」





「自信があってもだな　
　12万キロも走ればあっちゃこっちゃガタがきておるのだ
　
　夏にもマフラーがもげて5万5千円もかかっておるだろう」

「いやしかし・・・」





「しかしもかかしもないっ
　すでに三代目は発注済みだ」

「そ、そんなかろやかな段取りをいつの間に？」





「フフッ
　キミが知らないところで世界は動いておると言うことだよ
　初代のように埼玉でエンジンが逝って
　レッカー代、レンタカー代と無駄な出費を抑えるためにもな」

「ググゥ・・・
　
　廃車・・・ってワケですか」





「止むを得んがそういう事になるな
　
　しかしながらモデルチェンジをしたらしく人気が故に
　あと一ヶ月くらいは頑張ってもらうつもりだ」

「では最後の一メートル一センチまで
　愛車精神を忘れず花と愛を運ばせていただきます」

「すまないな　わかってくれたまえ

　最後のお情けってワケでもないんだがね
　ホロの骨組みは新車に流用できるらしいのだ
　これでキミの遺伝子は三代目に受け継がれる
　もちろん雪対策のチェーンもだ」

「それはただケチったありがたき幸せ」

「ところで三代目にはな
　なんとFMラジオが聴ける装置がついておるらしいのだ」

「そうですか・・・
　そんなハイテク機能装備ですか
　どうやら我が車の完敗のようですね」

「今後の事は悪いようにはせん
　今まで世話になったな　ありがとう」

「お達者で・・・」





このままトラブルが無く

三代目軽トラに乗れるのか

はたまた同じように出先で逝くのか

車に乗る度に

脇汗が止まらない冬なんだ